Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme

Aozora Bunko

木島助手は気でも違ったのであろうか。封筒の中へ大切そうに白紙の束を入れていたかと思うと、今度は御丁寧な靴箆の紙包だ。一体こんなものに何の意味があるというのだろう。

しかし、博士は別に意外らしい様子もなく、さも大切そうに、その靴箆の端をソッと摘むと、窓からの光線にすかして見たが、その時分にはもう、窓の外に夕闇が迫っていて、十分調べることが出来なかったので、部屋の隅のスイッチを押して電燈をつけ、その光の下で、靴箆を入念に検査した。

「指紋ですか」

中村係長が、やっとそこへ気がついて訊ねた。

「そうです。しかし……」

博士は吸いつけられたように靴箆の表面に見入って、振り向こうともしないのである。

「外側の指紋は皆重なり合っていて、はっきりしないが、内側に一つだけ、非常に明瞭な奴がある。拇指の指紋らしい。オヤ、これは不思議だ。中村君、実に妙な指紋ですよ。僕はこんな不思議な指紋を見たことがない。まるでお化けだ。それとも僕の目がどうかしているのかしら」

「どれです」

中村氏が近づいて、博士の手元を覗き込んだ。

「ホラ、こいつですよ。すかしてごらんなさい。完全な指紋でしょう。