Japanische Klassiker mit Furigana
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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme
愚図愚図していると、ホラ、お内儀のこの美しい頬っぺたから赤い血が流れるんだぜ。ふた目と見られぬ、恐ろしい顔に早変りしてしまうんだぜ。サア、鍵を渡さねえか」
すると、縛られている男が、くやしそうに目をいからせて、盗賊の覆面を睨みつけた。
「金庫の中には書類ばかりで、現金はないって、あれ程云っているじゃないか。さっき渡した五十円で勘弁してくれ、今うちにはあれっきりしか現金がないんだから」
それを聞いた賊は、鼻の先で、フフンとせせら笑った。
「ヤイ、手前は俺がなんにも知らねえと思っているんだな。金庫の中には一万円という札束が入っているのを、ちゃんと見込んでやって来たんだ。ウフフフフ、どうだ図星だろう」
縛られている主人の顔に、サッと当惑の色が浮かんだ。
「イイエ、あれは私の金じゃない。大切な預りものだ。あれだけは、どうあっても渡すことは出来ない」
「そうら見ろ。とうとう白状してしまったじゃねえか。預りものであろうと、なかろうと、こっちの知ったことか。サア、鍵を出しねえ。俺はあれをすっかり貰って行くのだ。エ、出さねえか。出さねえというなら、どうだ、これでもか。エ、これでもか」