Japanische Klassiker mit Furigana
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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme
博士も警部も、川手雪子の顔を知らなかったけれど、種々の事情を考え合せて、この艶めかしい死体こそ、捜索中の雪子さんであることは明かであった。何よりの証拠は、ガラス箱の表面に残されていた悪魔の指紋である。あの怪物の顔のように見える三重渦状紋である。こんな気違いめいた怪指紋を持った奴が、外にある筈はないからだ。
「恐ろしい犯罪だ。僕は永年犯罪を手がけて来たけれど、こんなのは初めてですよ。気違い沙汰だ。この犯人は復讐にこり固まって、精神に異状を来たしているとしか考えられませんね」
中村警部が沈痛な面持で呟いた。
「イヤ、気違いというよりも寧ろ天才です。邪悪の天才です。これほど効果的な復讐があるでしょうか。自分の娘が惨殺されたばかりか、その死体が、しかも裸体の死体が、展覧会に陳列されているのを見る父親の心持はどんなでしょう。こんなずば抜けた復讐が、並々の犯罪者なんかに思いつけるものじゃありません」
宗像博士は、犯人を讃美するような口調でさえあった。博士は今、この稀代の大悪人、絶好の敵手を見出して、武者震いを禁じ得ない体であった。鋭い両眼は、まだ見ぬ大敵への闘志に、爛々と輝き初めたかと見えた。