Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme

Aozora Bunko

「オヤ、変な見世物だねえ。五十銭の入場料で、五円の賞金を出していたんじゃ、興行主は損ばかりしていなけれゃなるまい」

博士が思わず独言のように云うと、群衆の中の一人の老人が、それを聞きつけて、話しかけた。

「それが、そうじゃねえんですよ。座元は丸儲けでさあ。ホラ、ごらんなさい。入口からああしてゾロゾロ見物が出て来るでしょう。みんな中途で引返すんでさあ。

あっしゃ、昨日から気をつけて見ているんだが、無事に出口まで辿りついた客は一人もねえ。よっぽどおっかない仕掛けがあるんですぜ。中途で引返した人の話じゃ、中は八幡の藪知らずで、どこをどう歩いていいかさっぱり見当がつかない上に、全く思いもかけないところから、ヒョイヒョイとおっそろしい化物や幽霊が飛び出して来る。イヤ、化物ばかりならいいんだが、もっと気味の悪いものがあるって云いますよ。死人ですよ。汽車に轢かれて、手足がバラバラになって転がっているんだとか、胸を抉られて、空を掴んで、口から血をタラタラと流して、今息を引取ろうとしているんだとか、怖いよりも胸が悪くなって、迚も見ちゃいられねえっていうんです」

江戸っ子らしい老人は、ひどく話好きと見えて、聞きもしないのに、ベラベラと喋るのだ。