Japanische Klassiker mit Furigana
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おしみなくあいはうばう
惜みなく愛は奪う
有島 武郎
Lesen Sie 惜みなく愛は奪う (おしみなくあいはうばう) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.397 Zeichen · 159 Bildschirme
石の方から外界に対して働きかける場合は絶無だ。私には下等動物といわれるものに通有な性質が残っているように、無機物の生活さえが膠着していると見える。それは人の生活が最も緩慢となるところには何時でも現われる現象だ。私達の祖先が経験し尽した事柄が、更に繰り返されるに当っては、私達はもう自分の能力を意識的に働かす必要はなくなる。かかる物事に対する生活活動は単に習性という形でのみ私達に残される。
チェスタートンが、「いかなる革命家でも家常茶飯事については、少しも革命家らしくなく、尋常人と異らない尋常なことをしている」といったのはまことだ。革命家でもない私にはかかる生活の態度が私の活動の大きな部分を占めている。毎朝私は顔を洗う。そして顔を洗う器具に変化がなければ、何等の反省もなく同じ方法で顔を洗う。若し不注意の為めにその方法を誤るようなことでもあれば、却ってそれを不愉快の種にする位だ。この生活に於ては全く過去の支配の下にある。私の個性の意識は少しもそこに働いていない。
私はかかる生活を無益だというのではない。かかる生活を有するが為めに私の日常生活はどれ程煩雑な葛藤から救われているか知れない。