Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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「あいとし」

「愛と死」

宮本 百合子

Lesen Sie 「愛と死」 (「あいとし」) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.027 Zeichen · 3 Bildschirme

Aozora Bunko

「愛と死」が、読むものの心にあたたかく自然に触れてゆくところをもった作品であることはよくわかる。武者小路実篤氏の独特な文体は、『白樺』へ作品がのりはじめた頃から既に三十年来読者にとって馴染ふかいものであり、しかもこの頃は、一方で益々単純化されて来ているとともに練れて光沢を帯びたようなところが出来ている。そのような文章で描き出されている「愛と死」の夏子の愛くるしさは躍如としているし、その愛らしい妹への野々村の情愛、夏子を愛する村岡の率直な情熱、思い設けない夏子の病死と死の悲しみにたえて行こうとする村岡の心持など、いかにもこの作者らしい一貫性で語られている。

こういう文章のたちと、こういうテーマの扱い方の小説は、今日めいめいの青春を生きている読者たちにとって、『白樺』の頃武者小路氏の文学が周囲につたえた新しい脈動とはおのずから性質の違った親愛、わかりよさに通じるようなものとして受けいれられるのだろうと思う。

「愛と死」は、しかし、最後の一行まで読み終ると、この作品の世界の一種の美にかかわらず、私たちの心に何か深い疑問をよびさますものがある。そして、その疑問は、その単行本の後書きを読むと一層かき立てられる。