Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あいのごとく

愛のごとく

山川 方夫

Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

茅ヶ崎には毎週水曜日ごとに通った。仕事をはじめる前のタンカース・インの舞台で、安達にそそのかされ、信二は一二度ドラムを打ったことがあった。鈍い反響をつたえるスティックの味はこころよかった。

「ダム・ビート!」彼がドラムをならべ終えて、ふとスティックを握ると安達がそう声をかけた。

「いっちょうぶったたけや、坊や。かまやしねえ」

坊やはいつのまにか信二の呼び名になってしまっていた。信二はたたいた。両肱を胴に寄せて爪先きで拍子をとり、明るい電灯を映すサイド・ドラムを思いきり連打して最後にひとつシンバルをたたいた。その音がまだ耳のそばでふるえていた。

「よし、」安達は赤い床をふんで歩いてきた。「ドラムの第一発、それをダム・ビートっていうんだ、どうだ、いい感じだろう」

「気分はいい」と信二は答えた。

「力がある、なかなか」安達はスティックをさわりながらいった。「教えてやろうか、おれが」

「安達さんが?」と彼はいった。昔きいた米兵に右の手の腱を切られ、スティックを持てなくなったドラマーの話が、ふと彼の頭をかすめていた。その男の名前はきかなかった。それが安達なのかもしれないと彼は思った。