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Japanische Klassiker mit Furigana

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あいのごとく

愛のごとく

山川 方夫

Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

真理子は、急にさぐるような目つきで私をみた。

「あんた、だれか好きなひとでもできたの? そうなんでしょ」

「ばかやろう」

私はひっぱたいてやりたかった。この健康優良児のようなよく張ったまるい尻を、思うさま蹴とばし、階段からころげおちさせたら、どんなにいい気分だろう。「そんな器用な男に、おれが見えるか」

真理子はにくたらしく下唇を突き出して歩いた。改札口で精算を要求され、私ははじめてそこが中野駅であるのに気づいた。柵を通り抜けて、「……おれは帰る」と私はいった。ほんとうに帰るつもりだった。「ええと、おれ、なにしにここまでついてきたんだっけな」

あたりはすっかり夜になってしまっていた。真理子の権幕に引きずられて、五反田の下宿へ帰るはずの私は、電車を乗り替えるのを忘れていたのだ。ひどくばからしい気分だった。耳たぶをほてらせたまま私が出札口に近づき、切符を買おうとするその腕に真理子はぶらさがった。

「はなさないよ、みっともないと思ったら私と来なさい、保井にも話してやってよ、シンネンがあんのならさ」

「いやだ」

「なにさ威張って、大きな声を出すわよ」

「いやだ」

「まだなにも話してないじゃないのさ、あなたのいい分ってのをききたいのよ、あんたがくそ真面目な人だってことは知ってるのよ」