Japanische Klassiker mit Furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme
いまだからこそ「くそ真面目」を屈辱的と考えるが、そのころはそういわれてけっして悪い気分ではなかった。勢いを弱め、だまりこんだ私を引きずるみたいにして、真理子はバスの停留所を歩きこすと、駅前の食料品市場にはいりこんだ。「さ、ご馳走してあげるわ、好きなものをおっしゃい」ふくれっつらの私にもたれかかり、真理子はさも愉しそうにアーケードふうの屋根のついた市場じゅうを歩きまわった。やがて、いつのまにかトンカツをえらんだことにされてしまい、外套が新調だからといい、真理子はつぎつぎと品物を私の胸に積みかさねた。「サラダは、私の方がずっとうまいんだからね、こんなとこじゃ買わない」市場を出て四五軒の八百屋を丹念にさがしまわり、彼女はいちばん安価で美味そうな蜜柑をやたらと買いもとめた。
私は、肩をゆすることもできなかった。ちょっと大きく呼吸をしても、紙袋から蜜柑や馬鈴薯がこぼれるのだ。そのたびに真理子が天下の一大事みたいな声をあげる。ハンド・バッグのほかには、彼女は花屋で値切りたおした一本の白バラしか持たなかった。小柄なわりに均斉のとれた彼女は、新しい濃紺のプリンセス・ラインの外套がよく似合っていた。