Japanische Klassiker mit Furigana
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ばしゃ
愛の挨拶・馬車・純粋小説論
横光 利一
Lesen Sie 愛の挨拶・馬車・純粋小説論 (ばしゃ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.699 Zeichen · 78 Bildschirme
ておこうという気になって、湯の中から立ち上った。すると、二人が着物を着ているところへ、下からいつも湯へ這入りに来る村人達と一緒に、年の割には落ちついたどこかに陰鬱なほど品位のある一人の娘が登って来て、紳士を見ると、下の方からにこにこ親しげに笑い出した。しかし、紳士はその娘を見ても笑顔一つ返さずに、近づいて来るがいなや、「何だ。」と一言いったままさっさと坂を下っていった。しかし、娘は紳士の傍で何事かひそひそ話しながら一緒にどこまでも下っていくので、由良は後から歩いていきながらも二人の傍へ近よることを遠慮していると、急に紳士はくるりと由良の方へ向き返って、いきなりこれは自分の娘だと紹介した。由良は不意を打たれてどぎまぎしたが、娘も周章てたらしく顔を赧らめて鄭重に会釈をすると、もうそれからは父と由良とばかりに話させるように黙って二人の後から歩いて来た。しかし、由良は娘が自分に会釈したとき、突然現われた思わぬ華やかな美しさに絶えず脊を打たれて、ともすると足が地から浮き上りそうにふらふらするのを感じると、もう不安さが締め上って来て、自分ながら何をし出すか分らなくなって来たので、ともあれ今日はこのまま帰る方が恥をかかなくて良いと思い、そのままその日は帰ることにした。