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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばしゃ

愛の挨拶・馬車・純粋小説論

横光 利一

Lesen Sie 愛の挨拶・馬車・純粋小説論 (ばしゃ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.699 Zeichen · 78 Bildschirme

Aozora Bunko

あなたはどうじゃった?」

由良は此の学者から自分も同様に今まで狂人だと思われていたのだと思うと、早速に言葉が出ないほどおかしくなった。

しかし、自分も物を矢鱈に買う気だけは起らないといっても、ときどき理由もなくむらむらと怒ったり、夢を見ても匂いや色をはっきり感じたり、遠い過去の記憶が不意に実感をもって現れたりするところをみると、ひょっとするとこれは今が狂人になる前期の頭の調子かもしれたものではないと、急に笑い事ではなくなって云った。

「わたしの頭は今はまだ大丈夫らしいのですが、何時、突然壊れ出すかもしれないと思いまして、その不安が一番私にはいけないのです。」

「そうだ。その不安はたしかにいかぬぞ、気をつけなさい。わたしは気が狂い出すと押入へ飛び込むのだが、あれは身体が押入へ這入ると、もうそれで肉体が飛び散ることは絶対にないと安心するからなんだ。物は安心するのが何よりだ。あなたも易道に精進すると、安心を得るからだんだん不安がなくなって身体もよくなります。わたしも易占をやり出してからは、物事にもう迷いが起らなくなった。その前にはわたしは砲術を研究しておったのだが、砲身の内側の穴の中には砲弾に威力をつける線条というものがある。