Japanische Klassiker mit Furigana
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ばしゃ
愛の挨拶・馬車・純粋小説論
横光 利一
Lesen Sie 愛の挨拶・馬車・純粋小説論 (ばしゃ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.699 Zeichen · 78 Bildschirme
しかし、見ているとそれは笑ったのではなく、怒りのために唇の両端が代るがわる動きを移動させたのにすぎなくて、立っている由良の方へその顔を遠慮もなく近づけて来ると、「八卦を見たぞ。」とひと言いった。
「八卦って何の八卦だ。」
「お前さんのだ。」
由良はくるりと向き返ると、また信者には黙って歩き出した。歩きながらも、彼は信者の言葉で、信者が自分の運命をいつもこっそり見ていたのだと気がつくと、だんだん後から来る信者が気味悪くなって来た。もし信者からお前はもう直ぐ死ぬぞとでも云われたら、いかにそれは出鱈目だと思ったところで、自分の悪い頭はどんなに暗示を受けて狼狽え出すかしれないと由良は思ったので、なるだけ早く信者から遠ざかることを心がけたが、信者が自分の卦を見て、怒りながら後からこんなにしつこくついて来るところを見ると、何か信者のそうしていることと現れた卦との間には、必然的な関係があるにちがいないと思われて、ますます由良は自分の行く手が怪しいもので満ち溢れているかのように感じられて来た。そのうちに由良は宿の前まで来たので、急いで中へは入ると信者にはかまわずさっさと自分の部屋へ戻って来たが、ふと部屋の外に、どこからか廻って来た信者が立っていそうに思われたので、窓をがらりと開けてみると、やはり信者はじっとこちらを向いて立っ