Japanische Klassiker mit Furigana
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ばしゃ
愛の挨拶・馬車・純粋小説論
横光 利一
Lesen Sie 愛の挨拶・馬車・純粋小説論 (ばしゃ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.699 Zeichen · 78 Bildschirme
もし自分が彼らよりも強く花江を愛せずにはいられないなら、彼女のいくところまで行って、その一番恐るべき村の中へまでもいかなければならぬにちがいはないのだ。――しかし、自分は、と由良は考えると、とても夢殿村の中まで花江と一緒にこのままでは這入っていけそうには思えなかった。
「では、ありがとうございました。もうここで結構でございますわ。馬車が直ぐここへ参りますから。」
しかし、由良は花江のそう云うのには黙って、怒ったようにぼつりとして立っていたが、彼女がそんなに云うのも、恐らく花江の行くところを自分に見せる不快さもあるのであろうと気がつくと、それでは今夜はもうこのまま別れて帰ろうと由良は思った。しかし、もうここまで来れば、自分が彼女の何者であるかを知っているのだと、むしろこちらから花江に知らせてやる方法はないものかとさえ思っているときとて、そのまま由良は立ち去りかねて花江と一緒に立っていると、間もなく遠くの木枯の中からかたかたと馬車の音が聞えて来た。すると、花江はまたしきりに帰ってくれと由良に云い出したので、由良もそれ以上とまっているのは、もうこちらが明らかに花江に好意を持たれていると図に乗っているのと同様なのだから、「それではここで失礼させてもらいますが、何か東京の方へは御用事でもありましたら、仰言って下さい