Japanische Klassiker mit Furigana
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かんかくのかいせい
感覚の回生
小川 未明
Lesen Sie 感覚の回生 (かんかくのかいせい) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.613 Zeichen · 4 Bildschirme
其のような、蜻蛉の飛んでいる様子を見た時に、私は見逃すような穏しい子供でなかった。常に、『これはいゝあんばいだ。こんなおはぐろ蜻蛉が下に降りて飛んでいることはない』と心は躍って、きっと工夫して帽子で捕えるか、細い棒で叩き落したものである。
また草の繁った中に入って、チッ、チッ、チッと啼いている虫の音を聞き澄して捕えようと焦ったものだ。自分の踏んだ草が、自然に刎ね返って、延び上った姿、青い葉の裏に、青い円い体に銀光の斑点の付いている裸虫の止っているのも啼く虫と見えて、ぎょっとしたこと、其の時の小さな心臓の鼓動、かゝる空溝に生えている草叢にすら特有の臭い、其等は、今、こうやって机に向っていると、まざ/\として目に見え、鼻に来る覚えがする。
けれど、平常ペンを採っていて、この色、この臭いを今考える程強く書いたことはなかった。
また、かゝる日に自己の興を求めて殺生した事実について考えさせられたこともなかった。
真面目に自己というものを考える時は常に色彩について、嗅覚に付て、孤独を悲しむ感情に付て、サベージの血脈を伝えたる本能に付て、最も強烈であり、鮮かであった少年時代が追懐せられる。