Japanische Klassiker mit Furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme
「やいこら、静かにしろ」
と庭へ追いもどすと、つぎの朝には、ご不浄の窓から入りこみ、天井の玉縁を這いまわって、ぎょっとさせた。
庭は庭として、わが石田家の人々のうえにも、けだるい暑気がおとずれた。
賢夫人と千々子さまは、給料他人持ちの、腕っこきのメードがきて、家常のいっさいを、ものすごいデッド・ヒートで片付けてくれるので、むかしのように、髪ふりみだしてバタバタしなくともすむようになり、腰のまわりに脂肪がつくほどすこしも動かず、暇にあかして、顔ばかりいじくっているため、わずかの間に、どこの国の貴婦人かと思うような、つるりとしたようすになった。
石田氏の錦鯉にたいする発光装置は、その後、うまいところへ向いているらしく、これも、一日中、プールのそばに居て、めったに食堂へも出て来ないくらいに教育に熱中しているが、五十雄君と百々子は、六月以来、精神の根源を疲弊させる、心理的な暑気にやられ、花蔭に坐りこんで、顔を見あわせては溜息ばかりついていた。
「いつまで、こんな生活をつづけるつもりなんだろう」
と五十雄君が嘆息すると、
「あたしも、くたくた……はやく七月にならないかな」