Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme

Aozora Bunko

「はあ、ずうっと、ここの現場をやっています……ちょっと清水さんに」

「清水さんなら、あそこにいるわ」

大里君が広縁へ行くと、ヘンリ清水が、なんだといいながら、こちらへ振返った。

「西側の隅棟の屋根が抜けそうです。放っておくと、階下のサロンへ落ちます」

ヘンリ清水は、髪をかきむしりながら、呻いた。

「ちくしょう、あそこも抜けるのか……だが、そうばかりしていると、全部、やりかえるほかなくなる……いま行くから、むこうで待っていてくれ」

大里君が現場に帰ると、ヘンリ清水は、石田氏をつかまえて愚痴をこぼしだした。

「陸屋根をおさめると、こんどは隅棟とくる。漆喰だ、天井だ、小屋梁だ、階段だ……大風のあとの修繕だけで、かれこれ十万円もかかりました。ボロは承知だが、それにしても、えらい屋台を背負いこんだもんですよ」

「愚痴をいうことはないさ。かければかけただけのことはあるんだろう? ……奉仕だなんていうが、内実は、この家をハークネスの名義にして、ロッジ式の、モーテルにするんだそうだな。太田の女親分が、そういっていた」

「あいつめ、そんなことまで、しゃべったんですか。いやはや、とんだやつと組んだよ……こうなれば、正直にぶちまけますが、ハークネスは、一週間も前に、東京に来ているんです」