Japanische Klassiker mit Furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme
シュラーの紹介で、大量にアメリカへ売りこむつもりだったんだが、資金が枯渇して、バリウムも買えないような状態になっている。ここで手をぬくと、せっかくの夜光魚が後がえりして、ただの錦鯉になってしまうおそれがあるんだ……大言壮語した手前、うちの賢夫人に資金を貸せとはいえない。すまないが、一日も早くシュラーの居どころを突きとめて、首へ繩をつけてでも家へひっぱってきてもらいたい。話は、もちろん、おれがつける」
アメリカ唐檜の蔭で、百々子が聞いたのはそういう話であった。石田氏が返しのない摺鈎で錦鯉の子供を釣りあげ、バリウムを飲ませてはプールに返していたのには、そういう雄大な計画があったのだということを、はじめて了解した。
それから一週間ほどのち、石田家の家裏の物干場で、花々しい幕合劇の一幕があった。
五日ほど前から、千々子さまはお隣家のミドリさまを釣りだそうというので、いろいろと骨を折っていた。はじめの日は電話で、
「いつぞやは失礼しました。その後、ごきげんいかがなの? あたくし、おなつかしく思っていますのよ。お暇でしたら、これからお遊びにいらっしゃらないこと? 下の門までお迎いに出ますわ」