Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme
としか読めない。これには、頑固な先代も頭を掻いた。
その後、何通か、火の出るような手紙と電報のやりとりがあってから、やっとのことで、異種の結婚をあきらめ、涙をのんで、いまの賢夫人と結婚したという華やかな歴史を、石田氏は過去にもっている。
百々子が子供だったころの石田氏は、身装ばかりキチンとし、官僚の気取りが鼻につく、よそよそしい感じのひとだった。およそ、向きあって話をするなんて、まっぴらだったが、このごろは、二人っきりで鼻をつきあわしていても、そんなに嫌な気持ちはしない。秘密を分けあっているという思いで、しみじみとするようなこともある。
「へんな恰好をしていますね、なんなの?」
百々子がたずねると、石田氏は苦りきった顔で、
「賢夫人のところへ行って、今日の夕食は、燕尾服にしますか、タキシードにしますか、と聞いて来い」
と皮肉めかしたことをいった。
「今夜、なにが、はじまるというの?」
「家じゃ、夕食には、服を着換えて食堂へ出ることになった。お前も、そんな恰好をしていると、賢夫人にひっぱたかれるぞ」
百々子は、切なくなって笑いだした。
「たいへんだ……つまり、この家が悪いんだね? この家にさえ越して来なかったら、頭が狂いだすことなんかなかったんだ」