Japanische Klassiker mit Furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme
「飯を食うのに、こんなに骨を折ることが、いるかというんだ。家庭の食事は、漫画じゃないんだから、あまり奇抜なことは、しないほうがいい」
そんなことをいっているうちに、石田氏は、だんだん腹がたってきたらしく、煙草に火をつけて、むやみに長い煙を吹きだした。賢夫人は、相手にもしない顔で、
「このテーブルと椅子のことですか? ええ、これはほんの当座の間に合せよ。そのうちに、しっかりした家具がきますから、それまで、我慢していただくわ」と軽くイナした。
「椅子に掛けて飯を食うなんていう習慣は、われわれの家庭には、なかったことだ。なんのつもりで、こんなことをはじめたんだ」
「この間、日本へ来た、なんとかいう西洋人がいっていましたね……日本人は平面でばかり生活しているから、知能が横這いする。もっと立体的な生活をしないと、西洋の文化に追いつけないって」
「うちの役所の生活改善課長も、似たようなことをいっていた……なるほど、立体的にはちがいない。こうして、さっきから中腰になって立っているからな……横這いかなにか知らないが、畳のうえの生活は、日本人の身についたサビのようなものだから、かんたんに擦り落されても困るんだ」