Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.981 Zeichen · 295 Bildschirme
「あ」と驚いたような言葉を投げておいて、丁寧に低くつむりを下げながら、
「こんな所まで……恐れ入ります。わたし早月葉と申しますが、旅には不慣れでおりますのにひとり旅でございますから……」
といってひとみを稲妻のように田川に移して、
「御迷惑ではこざいましょうが何分よろしく願います」
とまたつむりを下げた。田川はその言葉の終わるのを待ち兼ねたように引き取って、
「何不慣れはわたしの妻も同様ですよ。何しろこの船の中には女は二人ぎりだからお互いです」
とあまりなめらかにいってのけたので、妻の前でもはばかるように今度は態度を改めながら事務長に向かって、
「チャイニース・ステアレージには何人ほどいますか日本の女は」
と問いかけた。事務長は例の塩から声で
「さあ、まだ帳簿もろくろく整理して見ませんから、しっかりとはわかり兼ねますが、何しろこのごろはだいぶふえました。三四十人もいますか。奥さんここが医務室です。何しろ九月といえば旧の二八月の八月ですから、太平洋のほうは暴ける事もありますんだ。たまにはここにも御用ができますぞ。ちょっと船医も御紹介しておきますで」
「まあそんなに荒れますか」