Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.981 Zeichen · 295 Bildschirme
葉子は目でなでたりさすったりするようにして、この大きな子供みたような暴君の頭から足の先までを見やっていた。ごわっごわっと時々新聞を折り返す音だけが聞こえて、積み荷があらかた片付いた船室の夜は静かにふけて行った。
葉子はそうしたままでふと木村を思いやった。
木村は銀行に寄って切手を現金に換えて、店の締まらないうちにいくらか買い物をして、それを小わきにかかえながら、夕食もしたためずに、ジャクソン街にあるという日本人の旅店に帰り着くころには、町々に灯がともって、寒い靄と煙との間を労働者たちが疲れた五体を引きずりながら歩いて行くのにたくさん出あっているだろう。小さなストーブに煙の多い石炭がぶしぶし燃えて、けばけばしい電灯の光だけが、むちうつようにがらんとした部屋の薄ぎたなさを煌々と照らしているだろう。その光の下で、ぐらぐらする椅子に腰かけて、ストーブの火を見つめながら木村が考えている。しばらく考えてからさびしそうに見るともなく部屋の中を見回して、またストーブの火にながめ入るだろう。そのうちにあの涙の出やすい目からは涙がほろほろととめどもなく流れ出るに違いない。