Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.981 Zeichen · 295 Bildschirme
葉子は左手を二の腕がのぞき出るまでずっと延ばして、そこにあるものを一払いに払いのけると、花壇の土を掘り起こしたようにきたない畳が半畳ばかり現われ出た。古藤は自分の帽子を部屋のすみにぶちなげて置いて、払い残された細形の金鎖を片づけると、どっかとあぐらをかいて正面から葉子を見すえながら、
「行って来ました。船の切符もたしかに受け取って来ました」
といってふところの中を探りにかかった。葉子はちょっと改まって、
「ほんとにありがとうございました」
と頭を下げたが、たちまち roughish な目つきをして、
「まあそんな事はいずれあとで、ね、……何しろお寒かったでしょう、さ」
といいながら飲み残りの酒を盆の上に無造作に捨てて、二三度左手をふってしずくを切ってから、コップを古藤にさしつけた。古藤の目は何かに激昂しているように輝いていた。
「僕は飲みません」
「おやなぜ」
「飲みたくないから飲まないんです」
この角ばった返答は男を手もなくあやし慣れている葉子にも意外だった。それでそのあとの言葉をどう継ごうかと、ちょっとためらって古藤の顔を見やっていると、古藤はたたみかけて口をきった。