Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
私はどうかしてもう一度彼女を見たいと思った。ああいう手紙をやったものが私であるという卑しい報告によって、明らかに彼女の胸に私が救い主であることを了解させたいと思った。その一面には、彼女が自分の悪事を看破られた理由から、あるいは、私をかえって憎憎しく考えるにちがいないという不安もあったが、ともかく、私はもう一度彼女を見たいという欲求に燃えた。
彼女は私だちの町のすぐ裏になっている、お留守組町に住んでいることを私は知っていた。加賀藩の零落れた士族の多く住んだ町で、ちょうど彼女の家は前庭のある平屋で、それも古い朽ちはてた屋根石のあいまあいまには、まだ去年の落葉を葺き換えない貧しい家であった。小さい柴折戸のような門構えのなかは、すももと柘榴とが二、三本立っていて、小さい柘榴が実りはじめていた。
家のなかはしんとしていて、台所口の水の音がちゃぶちゃぶしていた。私はそのとき、すぐ胸がおどおどして直覚的に彼女が台所にいるような気がした。水を何かにかける音がざあーとすると、こんどはタワシでごしごし桶のようなものを洗っている音がした。私はすぐさま、あの白い餅のように柔らかい靨のたくさん彫られた手を思い出して、あたまのそこまでしんとしてその美しい形や円みを描いた。