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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるしょうじょのしまで

或る少女の死まで 他二篇

室生 犀星

Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme

Aozora Bunko

私はその日もふらふらと釣られるように彼女の家の前までくると、家の内部は寂然として、気のせいか女の声らしい話しごえがしているようであった。前の庭はきれいに掃いてあって、柘榴の蔭にはおいらん草が裏町の庭らしく乏しい花をつけているのが、わけても今日はなつかしく眺められた。しずかな家の内部はいかにも彼女の温かい呼吸や、血色のよい桜色した皮膚に彩色せられたように、そこに何ともいわれぬ温かい空気が漂うているように思われた。

いつまで立っていても、人のけはいがしないので、私はすごすご立去ろうとするとき、庭の石のところに、糸屑を丸めたのが打棄てられてあるのが、その紅や白の色彩とともに、ふいと目にとまった。それがどういう原因もなしに、ふいとほしくなり出した。しかし其処まで這入るときはどうしても柴折戸を開かねばならなかったので、私はしばらく考えていたが、急に柴折戸をそっとあけた。柴折戸はべつに音も立てなかったので、私は十歩ほど忍び足になって、糸屑を拾うことができた。

糸屑はいろいろな用にたたないのを丸めてあったので、彼女を忍ぶよすがもなかったが、そのふわふわした筋ばった小さい玉を、握りしめて見ると、何かしら一種の女性に通じている心持が、たとえば無理に彼女の手なり足なりの感覚の一部をそこに感じられるように思われるのであった