Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
)盗んでみたらとさえ思うようになったのである。それは一つには私があの雪駄を盗んでも、それはきっと彼女に発見されても、許して貰える理由をつかんでもいたし、また彼女としてそれを叱責しないような気もするのであった。玄関には格子戸が閉っているので、それを開ければきっと音がするに定っているし、音がすれば誰か出てくるにちがいないという不安があった。私はどうして格子戸を開けたらいいかということを考えた。それに人通りのすくない裏町であるとはいえ、やはり途切れながらも通る人があった。そういうときは、やはり散歩する人のようにゆっくりと歩いて見せて、人が通って行ってしまうと、いそいで私は玄関の内部を窺うた。そこには紅い緒の雪駄が、もはや雪駄以上な別な値のあるもののように、べつな美しい彼女の肢体の一部分を切離して、そこに据えつけてあるような、深い悩ましい魅力をもって私を釘づけにしたように立たせるのであった。
私はそのとき、何者かがいて急に私に非常な力を注ぎこんだような戦慄を感じながら、あたりの人通りに注意した。ちょうど途絶えたその隙に私は何者かから背後から押し込まれたように柴折戸を辷り込んで、そっと玄関の格子戸に手を触れると、私はまるで雷に打たれたような震えが全身に荒い脈搏をつたえたのを知りながら、少しずつ格子を開けはじめた。