Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
もう公園の芝草のさきが焦げはじめて、すすきや萩の叢生したあたりに野生の鈴虫のなきさかるころで、高い松の群生したあたりをあるくと、自分の下駄の音が、一種のひびきをもつほど空気が透った午後であった。
茶店へよると、お玉さんが出て来た。そのしおらしい赤い襷もよく冴えて、はっきりと目にうつった。
「よくいらしって下さいましたわね。」と言って、彼女はいちはやく私を見ると、すぐ表を思い出して涙ぐんだ。私も二人きりで会ったことがよけいないだけ、すぐに彼女の眼の湿うたのに誘われながら、やや胸が迫るような気がした。
私だちはいろいろなことを話した。死んだ表がたえず私だちの間に、しょんぼり坐っているようにも思われたりした。そして、いつか「お玉さんと交際してくれたまえ。君となら安心できるから。」と表が言ったことを思い出した。よそのひとなら僕は死にきれないが君となら安心できると言った表は、自分でそう言いながら寂しい顔をした。
「これから時時いらしって下さいまし、わたし本当にお友だちがないんですから。」と、彼女は言った。
人間一人の死は、私と彼女との間にはさまって、ことに娘らしい弱い彼女をだんだんに安心させて私に近づかせて来るようであった。