Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
城砦の池に飛び込んだ古戦場であった。毎年かれが馬とともに飛び込んだといううら盆の七月十五日に、いつもその定紋のついた鞍が浮き上った。なかには鞍の浮き上ったのを見たという村の人もあり、その日はべつに変りはないけれど、何ともいえぬ池の底鳴りがするという人もあった。不思議なことには、馬と一しょに飛び込んだ富樫政親の姿が、その折とうとう浮いてこなかったことであった。
その池は深く青藍色の沈んだ色を見せて、さざ波一つ立たない日は、いかにもその底に深い怨恨に燃え沈んだ野武士の霊魂が沈潜していそうに思われるほど、静寂な、神秘的な凄い支配力をもって人人の神経を震わせてくるということであった。堀はこの伝説をきいて嗤った。そして、かれがこの池の底を探険するということが、お城下町に鳴りひびいて噂されたのであった。
その日、堀は得物一つ持たずに池にもぐり込んだ。しずかな午後であった。かれはかなり永い間水面に浮かなかったが、しばらくして浮き上ってきた彼は、非常な蒼白な、恐怖のために絶えず筋肉をぴくぴくさせていた。そして何人にもその底の秘密を話さなかった。何者がいたかということや、どういうぬしが棲んでいたかということなど、一つも語らなかった。