Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
Oはそれを受取った。
Oは自分の住所書きを手渡したりして、
「とにかく事件は済んだのだから安心したまえ。」と言った。
学生は去った。Oは、
「負担させたもののもう事件は済んだのだからこれで一つ飲もうじゃないか。」
Hもすぐ酒のみらしく、
「よかろう。君はどうか。」と私をかえり見た。
「僕は気がすすまない。今日はこれで失敬する。」と別れにかかると、
「一しょに来たまえ。」とOがいうのを背後にききながら、沈んだ心で宿へかえった。
私は午後から谷中の方面を歩いて、新しい宿をさがした。自分の宿にいても絶えず私は監視されているようで落ちつかなかった。ことに朝、目がさめると、鳥打帽をかむった褪めた紺絣をきた男が、いつも玄関に夢にさえまで現われたりして、佇んでいるような気がするのであった。
何となく不吉な経験をさせられたこの宿を越して行って静かな宿に、全然心持の汚れや疲れをあらためたい願望をもつようになった。椎の葉のしげみや、その葉の上にそそぐ雨は懐しかったが、それよりも、夜など、散歩から帰ったりするとき、ふいと表にれいの鳥打帽が立っているような気がして、落ちつくことができなかった。