Japanische Klassiker mit Furigana
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あるれんあいしょうせつ
或恋愛小説
Lesen Sie 或恋愛小説 (あるれんあいしょうせつ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.756 Zeichen · 10 Bildschirme
ある婦人雑誌社の面会室。
主筆 でっぷり肥った四十前後の紳士。
堀川保吉 主筆の肥っているだけに痩せた上にも痩せて見える三十前後の、――ちょっと一口には形容出来ない。が、とにかく紳士と呼ぶのに躊躇することだけは事実である。
主筆 今度は一つうちの雑誌に小説を書いては頂けないでしょうか? どうもこの頃は読者も高級になっていますし、在来の恋愛小説には満足しないようになっていますから、……もっと深い人間性に根ざした、真面目な恋愛小説を書いて頂きたいのです。
保吉 それは書きますよ。実はこの頃婦人雑誌に書きたいと思っている小説があるのです。
主筆 そうですか? それは結構です。もし書いて頂ければ、大いに新聞に広告しますよ。「堀川氏の筆に成れる、哀婉極りなき恋愛小説」とか何とか広告しますよ。
保吉 「哀婉極りなき」? しかし僕の小説は「恋愛は至上なり」と云うのですよ。
主筆 すると恋愛の讃美ですね。それはいよいよ結構です。厨川博士の「近代恋愛論」以来、一般に青年男女の心は恋愛至上主義に傾いていますから。……勿論近代的恋愛でしょうね?
保吉 さあ、それは疑問ですね。