Japanische Klassiker mit Furigana
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あるれんあいしょうせつ
或恋愛小説
Lesen Sie 或恋愛小説 (あるれんあいしょうせつ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.756 Zeichen · 10 Bildschirme
保吉 実はもう少しあるのですが。
主筆 おや、まだおしまいじゃないのですか?
保吉 ええ、そのうちに達雄は笑い出すのです。と思うとまた忌いましそうに「畜生」などと怒鳴り出すのです。
主筆 ははあ、発狂したのですね。
保吉 何、莫迦莫迦しさに業を煮やしたのです。それは業を煮やすはずでしょう。元来達雄は妙子などを少しも愛したことはないのですから。……
主筆 しかしそれじゃ。……
保吉 達雄はただ妙子の家へピアノを弾きたさに行ったのですよ。云わばピアノを愛しただけなのですよ。何しろ貧しい達雄にはピアノを買う金などはないはずですからね。
主筆 ですがね、堀川さん。
保吉 しかし活動写真館のピアノでも弾いていられた頃はまだしも達雄には幸福だったのです。達雄はこの間の震災以来、巡査になっているのですよ。護憲運動のあった時などは善良なる東京市民のために袋叩きにされているのですよ。ただ山の手の巡回中、稀にピアノの音でもすると、その家の外に佇んだまま、はかない幸福を夢みているのですよ。
主筆 それじゃ折角の小説は……
保吉 まあ、お聞きなさい。妙子はその間も漢口の住いに不相変達雄を思っているのです。