Japanische Klassiker mit Furigana
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おりがみ
折紙
中 勘助
Lesen Sie 折紙 (おりがみ) von 中 勘助 (なかかんすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 738 Zeichen · 2 Bildschirme
私はまたその妹とすごした海岸の夏をわすれたことはない。あの松原のなかで潮風の香をかぎ松をこえてくる海の音をききながら二人して折物をして遊んだとき、円窓のそとにはなぎの若木がならんで砂地のうえに涼しい紺色の影を落した。妹はふっくらと実のいった長い指に折紙をあちらこちらに畳みながらふくふくした顔をかしげて独り言をいったり、たわいもないことをいいかけたりする。つややかな丸髷に結ってうす色の珊瑚の玉をさしていた。桃色の鶴や、浅葱のふくら雀や、出来たのをひとつひとつ見せてはつづけてゆく。私は妹と向きあってなんのかのとかまいながらやっとのことで蓮花とだまし舟を折った。ここにあるひとたばの折紙はなつかしいそのおりの残りである。藍や鶸や朽葉など重りあって縞になった縁をみれば女の子のしめる博多の帯を思いだす。そのめざましい鬱金はあの待宵の花の色、いつぞや妹と植えたらば夜昼の境にまどろむ黄昏の女神の夢のようにほのぼのと咲いた。この紫は螢草、螢が好きな草ゆえに私も好きな草である。私はこんなにして色ばかり見るのが楽しい。じっと見つめていれば瞳のなかへ吸いこまれてゆくような気がする。