Japanische Klassiker mit Furigana
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ぬきうちししべえ
抜打ち獅子兵衛
山本 周五郎
Lesen Sie 抜打ち獅子兵衛 (ぬきうちししべえ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.930 Zeichen · 24 Bildschirme
四
「黙れ、そう申すからはお上の御耻辱となることを承知のうえで致したと云えるぞ」
「いやいやまったくもって」
「左内、さがりゃ」
妙泉院の手。珠数が音をたてた。
「亡き殿さまに代ってこのみが勘当いたします、ふたたび顔を見まいぞ」
「……はあっ」
左内は額を畳にすりつけた。
亡き殿とは柘植但馬守直知を云う。……備中新見で二万石だったが、幕府の忌諱に触れることがあって三年前に改易された。遺族は夫人妙泉院常子と十七歳になる女倫子の二人であった。……改易とともに多くの家臣は離散したが、家老和田玄蕃以下十五人の者は、遺族を護って菩提寺の持輪寺に世を隠れ、おりあらばお家再興を計ろうと、機会のくるのを待っていたのである。
館ノ内左内は国許で三百石の近習頭を勤めていたが、大変と同時に出府し、以来お側去らずに仕えていたのだ。
――勘当する。
武士としては致命的な申渡しを受けて、悄然と退出した左内が、すでに夕闇の濃くなってきた境内を山門のほうへ出て行こうとすると、鐘楼の蔭のところから、
「……お待ち、左内」
そっと呼びながら、一人の乙女が出てきた。
四
姫君倫子である。
白玉のように艶やかな頬に、小さな朱の唇がまるで緋牡丹の蕾を置いたように美しい。