Japanische Klassiker mit Furigana
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おしえのきせき
押絵の奇蹟
夢野 久作
Lesen Sie 押絵の奇蹟 (おしえのきせき) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.749 Zeichen · 114 Bildschirme
の賽銭が違ったと申す位で……イヤイヤ決してお世辞を云うのでは御座いませぬ。流石に博多は諸芸の都だけあると皆、感心をしておりましたので……そこへちょうど私が櫛田様へ御願を立てて運動に取りかかりました株式の取引所が、このごろ鰯町の私の地所に来る事になりましたので、その御願ほどきのために奥様の押絵を上げましたならば神様もきっとお喜びになる事と思って伺いました次第です。よい錦絵が御入用なら何程でも取り寄せて差上げます。この頃は汽車というものがありますから、東京へ電報を打てば十日足らずで着きますから」
というようなお話でした。
その時のお母様のお喜びになった御様子は今でも眼に残っております。手を揉み合せて顔を真赤にして、さも心配に眼を潤ませて、お父様の御返事を待っておいでになる物ごしが、まるで赤ん坊のようにイジラシク見えました。
お父様は直ぐにお許しになりました。しかも大乗気の御様子で、
「奥(お母様のこと)はわしの顔を手本にしてこの三国志の人形を作ったのでナ」
とその時の模様を大自慢でお話しになりましたので、お母様は恥かしがって真赤になったままお台所の方へ逃げておいでになりました。