Japanische Klassiker mit Furigana
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つめ
探偵クラブ 烙印
大下 宇陀児
Lesen Sie 探偵クラブ 烙印 (つめ) von 大下 宇陀児 (おおしたうだる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.509 Zeichen · 103 Bildschirme
彼は狼狽てて、以前の藪へ身を隠した。室の内ではそれからなお二十分近く、何かごとごとしていたが、間もなく庭に向った扉が開かれた。身仕舞を済ました良子を、竹中が送って行くのである。良子は、片腕に一寸嵩張った四角な風呂敷包を抱いていたが、空いている方の腕は、並んだ竹中の肩と、捩じれ合う位に近づけていた。
「ね、心配しないで下さいよ。多分、明日か明後日のうちには、僕の方からお宅へ伺いますよ」
良子は黙り込んでいたが、その耳へ竹中は優しくこんな風に囁きながら、ビクビクしている沖野の傍を通り抜けて行った。そしてやや少時して、竹中だけがそこへ帰って来たのだった。
「今に見ていろ!」
沖野は相変らず藪の蔭に潜みながら、遣り場のない忿懣を、こうでも呟いて見るより仕方がなかった。
で、なおもじっと様子を窺っていると、四辺は一寸の間しーんと静まりかえっていた。が、やがて誰かが竹中の寝室へ這入って来た気配だった。
「あ、お母さんでしたか――」
すぐに竹中の声がした。
そしてそれからやや長いこと竹中と母親とが低い声で話し込んでいた。少しも聴き取ることは出来なかったが、多分、竹中と良子との結婚問題であろうと思った。