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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうきょく

「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8

橋本 五郎

Lesen Sie 「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8 (しょうきょく) von 橋本 五郎 (はしもとごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.896 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

小曲

ひどい暴風雨だった。ゴーッと一風くると、まるで天井を吹き飛ばされそうな気持がする。束になった雨つぶが、窓硝子へ重い肉塊のように打つかって来て、打つかっては滝をなして流れるのである。そのひと揺れごとに電燈が消えた。時おり電車のひびきが聞えて来るが、それもその度に椿事があっての非常警笛のように思いなされた。何かはためいて、窓の外は底も知れず暗い。

田中君は、

「こんな晩だったんだな」

と呟きながら、立って窓の止め金を締め直した。読んでいる物語の恐ろしい場面が、恰度そんな暴風雨の晩であったのと、ひとつには風のためにその止め金が外れそうになっていたからである。

「何か起るな、こんな晩には」

田中君は、郊外のこの広い屋敷に、今夜は自分がたった一人で留守居しているのだということをフト思った。泥棒が這入って来たらどうしよう? 金は持ってないからまあいい。だが、金庫へ案内しろなどと言われて、背後からドキドキするメスか何かつきつけられて、賊の命のままに行動しなければならないとするとチト残念だ。しかし、よもや強盗などはやって来まい。家の者が皆、出かけていることは誰も知らないのだし、門も、それから廊下も便所の口もちゃんと二重錠がかけてあるのだ――