Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme

Aozora Bunko

佐渡おけさのときは、五人の一行がみんなで唄った。

「――これに替歌があるんだぜ、知ってるかい」

そう云って、また、その男が一人で、別のうたを唄った。一時間の上、そうやってうたっていた。兵隊らしい猥褻なうたはひとつも出なかった。ひろ子は、うたの終らないうちに眠ってしまった。

十七

きょうこそ、どうしてもここを出発する。そう思って、ひろ子は十一日の七時前に床をはなれ、布団を片づけた。二階の廊下から見ると、豪雨の翌朝らしい秋空が、碧く篠笹山の上に輝いた。しかし、空模様は不安で、西の方には煤色の雲がよどんでいる。

「さあ、きょうは出かけるぞ」

隣室の一行も、金具の音を立てて荷物のしまつを始めている。

「おい、早く飯にしてくれるように、おばさんに云って来い」

顔洗いのついでに、ひろ子は、東京までの弁当も勘定に入れた分量の米をもって下りた。入口から細長く土間のつづいた関西風の台所に、宿の嫁さんと娘とが素人めいたとりなしで働いている。小さな竈で、小さな釜で、一行ずつの飯を別々にたいているのであった。

けさ、出発することを話し、食事も早くするようにたのんで、ひろ子は室に戻った。