Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほうろう

放浪

織田 作之助

Lesen Sie 放浪 (ほうろう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.614 Zeichen · 47 Bildschirme

Aozora Bunko

あがりだよ。へえ。さびを擦りな。へえ。皿を洗いな。宜ろしおま。目の廻るほど追いまわされた。わさびを擦っていると、涙が出て来て、いつの間にかそれが本当の涙になりシク/\泣いた。出世する気で東京へ来たというものゝ、末の見込みが立とう筈もなかった。

ある夜、下腹部に急激な痛みが来て、我慢し切れなく、休ませて貰い天井の低い二階の雇人部屋で寝ころんでいる内に、体が飛び上るほどの痛さになり、痛アい! 痛アい! と呶鳴った。声で吃驚して上って来た女中が土色になった顔を見ると、周章てゝ医者を呼びに行った。脱腸の悪化で、手術ということになった。十日余り寝た切りで静養して、やっと起き上れるようになった時、はじめて主人が、身寄りの者はないのかと訪ねた。大阪にありますと答えると、大阪までの汽車賃にしろと十円呉れた。押しいたゞき、出世したらきっと御恩がえしは致しますと、例によって涙を流し、きっとした顔に覚悟の色も見せて、そして、大阪行きの汽車に乗った。

夕方、梅田の駅につきその足で「リヽアン」へ行った。女給の顔触れも変っていて、小鈴は居なかった。一人だけ顔馴染みの女が小鈴は別府へ駈落ちしたといった。