Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろう
放浪
織田 作之助
Lesen Sie 放浪 (ほうろう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.614 Zeichen · 47 Bildschirme
その夜は北田が身銭を切って、自分の宿へ泊めてくれることになった。食事の時小鈴が給仕してくれたが、かつて北田に小鈴に肩入れしているとて世話してやろかと冷やかされたことも忘れてしまい、オイチョさんと夫婦にならはったそうでお目出度うとお世辞をいった。
翌日、北田は流川通の都亭という小料理屋へ世話してくれた。都亭の主人から、大阪の会席料理屋で修業し、浅草の寿司屋にも暫くいたそうだが、家は御覧の通り腰掛け店で会席など改った料理はやらず、今のところ季節柄河豚料理一点張りだが、河豚は知ってるのかと訊かれると、順平は、知りまへんとはどうしても口に出なかった。北田の手前もあった。板場の腕だけがたった一つの誇りだったのだ。そうか、知ってるか、そりゃ有難いと主人はいったが、しかし結局は、当分の間だけだがと追い廻しに使われ、かえってほっとした。
一月ほど経ったある日、朝っぱらから四人づれの客が来て、河豚刺身とちりを註文した。二人いる板場の内、一人は四五日前暇をとり、一人は前の晩カンバンになってからどこかへ遊びに行って未だ帰って来ず、追い廻しの順平がひとり料理場を掃除しているところだった。