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Japanische Klassiker mit Furigana

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こきょう

故郷

豊島 与志雄

Lesen Sie 故郷 (こきょう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.738 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

恐らくは出来ないのであろう。また、そういう人々に限って、アンチゴオヌやソーニャを持ち得ないことが多い。偶然の運命によることもあろうけれど、それよりも、そうした伴侶を発見するだけの誠実さを持ち得ないほど卑怯になっているからである。

発見するだけの誠実さを持ち得ないほど卑怯に……この言葉を私は今考える。それと共に、人生に於ける魂の故郷でなく、普通の故郷のこと――吾々が生れた土地、或は幼年時代を過ごした土地のことを、想ってみるのである。

*

私は十二三歳まで、生れた田舎の土地で過ごした。その故郷の印象は、今でも頭にまざまざと残っている。

春の晴れた日には、紫雲英の咲き揃った畑中に寝ころんで、凧をあげながら、彼方に連なる山の峰と、その高さをきそった。夏の夕方には、馬に乗せてもらって、河の堤を走った。夜になると、その河の浅瀬に、投網に連れていって貰った。鮎や鮠や鮒が、龕灯の光を受けてぴちぴちはねた。七夕の日には、朝早く、蓮の葉にたまった露を、硯の水に取りに行った。盂蘭盆の終りの日には、夜更けてから、仏壇の供物を蓮の葉に包んで舟を作り、蝋燭を立てて、小川に流しに行った。