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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

しかもかれにとっては猶充分な飲酒をも貪ることのできない貧しさのために、かれはかれの内部に於て、それ自らの快楽をさぐりあてなければならなかったのである。かれにとってはこのあらゆる都会のうちにかれ自身を置くべきパンの住家はないばかりではなく、あらゆるものがかれとは背中合せであったのである。それゆえかれは自分のうちに自分を次第にとも食いをするような生活をしなければならなかったのであった。

日ぐれころになると、的もなくぶらりと街路へでかけて、いつまででも歩きつづけるのであった。かれは何よりかれの住んでいる町裏から近い芸者屋の小路を、往来からふらふらと何かの匂いにつられた犬のようにぶらつきながら、きれいな鼻緒の下駄や雪駄、それからそうしたところに必ずある大きな姿見に、これまた定ったように帯を結んだり化粧をしたりする派手な女を、一軒ごとに見過すのがつねであった。かれにとっては、そういう種類の女に近づいたこともなければ、また、そういう機会もあろう筈がなかった。何かしら色紙ででも剪って作りあげたような擦れちがいの芸者などを、そば近く呼ぶものがこの世にあろうとさえ思えなかったのである。