Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
廊下の坂の上にたまった埃とも砂とも云えない細かなざらざらしたものの上を、強く、踏んで引いた一種のすれた物音であった。物音というよりも、どう言ったらいいか、西洋紙を幾枚も重ねたのを上の方の一枚を引いた、ああいう幽かな物音であった。
「あの部屋は明いているのだが、造花の枝や紙の型なぞを束ねて積んであるらしい。するとそれが何かにすれた音だったかも知れない――」
昼間無理をして積んだのが夜になって、湿ったためにしなえてその一部がくずれたのかも知れぬ、松岡はそう思うとそういうこともあることに気づいた。しかし、それはそれにしても何かかげのようなものの、横の方へ幅びろく、うつ向いて通りすぎたのは一たい何だろう、松岡がそう考えたとき、五六十本ばかりの針の尖端で襟元を突かれたような、一時的ではあったが非常な悪寒が、ぞっくりと通りすぎることを感じて、或る震えをおぼえた。
かれは襖をあけ、そとの廊下を神経的にあけて見たが、何も変ったことがあろう筈がなかった。これまででも松岡だけは何の不思議も気味わるさもこの三階では感じなかった。他のいろいろな人が越すごとに寧ろ可笑かったくらいだった。