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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

八百屋の主人も、造花屋も松岡がいてくれるので、何より安堵していたのだった。松岡自身も曾つて変な気のすることはなかった。唯の一度も無いと言っていい、――

しかし今夜は何か絶えず気が昂ぶっているのは、松岡には女が来て行ったことに原因していることに気がついていたのだが………こんなに廊下へ出て見る気や、悪寒や、胸の悸つくことや、喉の乾くことなぞ一度も経験したことがなかった。他から様々なこの三階の家の噂を聴くごとに寧ろ松岡は鼻であしらっていたのだ。

松岡は襖戸を閉めて部屋へ這入ろうとする時に、鈍いぱたんという音をきいた。二階から三階への上り口から抜けて来る音であった、何か立てかけたものが不意に倒れたそれで、床板にひびいたのであるらしい。たしかに二階で、廊下の板の上にちがいないとそう思うた。今頃そんな音がしたことがない、鼠にしては大き過ぎる音であった。

松岡はまた先刻の横に幅のひろい、何かが跼んで逃げたような物かげを不図思い出して見た。

「二階も北側のはずれだ、ちょうどおれの部屋の階下にちがいない。」

松岡はまた身ぶるいした。

松岡は寝床の中へ這入ったが、寝つけそうもなかった。