Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
それにしてもお帰りになったとすると……わたくし、ずっと階下にいましたから気づかないことはない筈ですがね。」
「とにかく僕は履き物を見て来る、――」
松岡は蒼くなりながら急いで階段を下りて行き、すぐ上り口に脱いである籐表の、うす紫の緒のある女の履物を見たが、それは、夕方帰って来たときに見た女の履物に違いはなかった。位置もすこしも変っていないようであった。
「まだ帰らない、――とすると、一体どこにいるのだろう。」
松岡はがたがた震えながら階段を上ると、上り口に主婦はこれも夜ふけの青い顔をして立っていた。
「ございましたでしょう。」
「ありました。」
「たしかにおかえりになったんですか、それとも……」
「たしかに帰ったのです。階下で女の話声までしたと思ったのは、聞きちがいをしたのだな。」
松岡はいまから思うと、話し声はどうも女の声だと思われなかった。
「すると何処にいらっしゃるのでしょう、変ですね。」
「かえらないとすると……」松岡は冷たくなって了った。
「何か言い争いでもなすったのですか。」
主婦は不安げな顔附で、松岡の顔をまじまじに打眺め乍ら、何かの予感で唇を少し震わせて言った。