Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
父親も、娘の正体が何んであるか分らないけれど、可愛想な気がしてその晩鉄の棒を取りのぞいてやりました。
すると、娘はいつものように静かではなく、きゅうに障子をあけると、庭へ飛び出し、それきりその晩から姿を見せませんでした。丁字屋では大騒ぎをして捜したけれども、どこにも娘らしいものがいませんでした。父親は、あまりの不思議さに、ぼんやりと一日考え込んでいました。――娘のいた部屋へ行ってみても別にかわりはありません。ただ娘のいたころよりも、れいの、青くさい匂いがなくなっていたのです。何気なくその布団を引いて見ますと、小さい蛇が黒々と一匹、皿巻きをしていました。父親は驚いてそれを趁ったが、その蛇はふいに床から庭さきへ辷り出し、それきり何処へ行ったか見えなくなったそうです。
が、ふしぎにそれから後も、いつも土蔵の日南や、屋根の上や、娘のいた居間のそばなどに、どこから出てくるのか、れいの、黒々とした一匹の蛇が、まるで影のように皿巻きをしていたそうです。それゆえ、みんなは何日となくその蛇を趁わなくなり、却ってその蛇にしたしみを持つようになりました。小さい胸紐のような蛇は、白い腹をし、わりあいに、優しい目をしては丁字屋の人々をながめてはいました。