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Japanische Klassiker mit Furigana

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うきふね

文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集

泉 鏡花

Lesen Sie 文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集 (うきふね) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.938 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

が、蛤の姿である……と云うのが、衣服、その袖、その帯と思う処がいずれも同じ蛤で、顔と見るのが蛤で、目鼻と思い、口と思うのが蛤で、そして灯が蛤である。

襟か袖かであるらしく、且つ暗の綾の、薄紫の影が籠む。

時にかたかたと響いて、二三人で捧げ持った気勢がして、婦の袖の香立蔽い、船に柱の用意があって、空を包んで、トンと据えたは、屋根船の屋根めいて、それも漆の塗の艶、星の如き唐草の蒔絵が散った。左舷右舷も青貝摺。

六蔵は雛壇で見て覚えのある車のようだ、と偶と思う。

時に、蛤が口を開いた。否、提灯が、真珠の灯を向けたのである、六の顔へ――そして女の声で言った。

「これが俳優なの?」

「まあ。」

「醜い俳優だわね。」

――ままにしろ、此奴等――と心の裡で、六蔵は苦り切る。

「まだ、来ていやしまいと思ったのに、」

「そして、寝ているんだもの、情のない。」

「心中の対手の方が、さきへ来て寝ているなんて。」

「ねえ、」

と応じて、呆れたように云った、と思うと、ざっと浪が鳴って、潮が退いたらしく寂寞する。

欄干も、屋根も、はっと消えて、蒔絵も星も真の暗闇。

直ぐに、ひたひた、と跫音して、誰か舷へ来たらしい。