Japanische Klassiker mit Furigana
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うきふね
文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集
泉 鏡花
Lesen Sie 文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集 (うきふね) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.938 Zeichen · 67 Bildschirme
むかッとして胸を圧えて、沓脱へ吐もどすように、庭下駄を探った時は、さっき別亭へ導かれた縁の口に、渠一人、れた烏賊の燃ゆるのを樹の間に見つつ、頸筋、両脇に、冷い汗をびっしょり流して、ぐったりとしたのであった。
要するに、麗しき婦は塔婆の影である。席に見えないとすると、坊主、坊主が別亭へ侵入して、蚊帳を乱していはしないかと危んだためなのであった。
「どうかお聞き下さい。……お鬱陶しいでしょうが、お聞き下さい。――僕は洋画かきの、それもほんのペンキ屋ですが……」
槙真三は、閨の塔婆に引添うて、おなじ枕頭にまくった毛脛に、手がつかないばかりにして言った。――いまこの数寄屋へ入ると同時にハッと思ったのは、大坊主が古行燈の灯を銀の俵張の煙管にうつして、ぷかぷかと吹かしていた処、脂を吸ったか、舌打して、ペッペッと憚らず蚊帳に唾を吐いた。ああ、その勢で行られては。……蚊帳を捲って入る処へ、つかつかと上るのを、坊主は見返りもしなかった。
「何をなさるんです。」
「行力を顕わすのよ。」
それから、あらたまって謙遜りつつ言ったのである。――
「私には、たいせつな先生があります。