Japanische Klassiker mit Furigana
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みすじまちかいわい
斎藤茂吉随筆集
斎藤 茂吉
Lesen Sie 斎藤茂吉随筆集 (みすじまちかいわい) von 斎藤 茂吉 (さいとうもきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.559 Zeichen · 37 Bildschirme
その頃助手のようなものは一人も連れて来ずに、いつも媼ひとりでやって来ていた。またその粉末も砂がきとはいえ、砂でなくて饂飩粉か何かであったのかも知れず、それにも一種の技術があって万遍なく色の交るように拵えてあったのかも知れないが、実際どういうものであったか私にはよく分からぬ。また現在ああいうものが復興するにせよ、時代には敵わぬだろうから、あの成行きはあれはあれで好かったというものである。
鉄道馬車も丁度そのころ出来た。蔵前どおりを鉄道馬車が通るというので、女中に連れられて見に行ったことがある。目隠しをした二頭の馬が走ってゆくのは、レールの上を動く車台を引くので車房には客が乗っている。私が郷里で見た開化絵を目のあたり見るような気持であったが、そのころまでは東京にもレールの上を走る馬車はなかったものである。この馬車は電車の出来るまで続いたわけである。電車の出来たてに犬が轢かれたり、つるみかけている猫が轢かれたりした光景をよく見たものであるが、鉄道馬車の場合にはそんな際どい事故は起らぬのであった。
二
そういうわけで、私は数えどし十五のとき、郷里上ノ山の小学校を卒え、陰暦の七月十七日、つまり盆の十七日の午前一時ごろ父に連れられて家を出た。