Japanische Klassiker mit Furigana
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みすじまちかいわい
斎藤茂吉随筆集
斎藤 茂吉
Lesen Sie 斎藤茂吉随筆集 (みすじまちかいわい) von 斎藤 茂吉 (さいとうもきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.559 Zeichen · 37 Bildschirme
これらの写真は、私が未だ郷里にいたとき、小学校の校長が東京土産に買って来て児童に見せ見せしたものであるから、私は小遣銭が溜まると此処に来てその英雄の写真を買いあつめた。
そういう英雄豪傑の写真に交って、ぽん太の写真が三、四種類あり、洗い髪で指を頬のところに当てたのもあれば、桃割に結ったのもあり、口紅の濃く影っているのもあった。私は世には実に美しい女もいればいるものだと思い、それが折にふれて意識のうえに浮きあがって来るのであった。ぽん太はそのころ天下の名妓として名が高く、それから鹿島屋清兵衛さんに引かされるということで切りに噂に上った頃の話である。
そのうち私は中学を卒業し、高等学校から大学に進んだころ、鹿島氏は本郷三丁目の交叉点に近く住んでいるということを聞き、また写真屋を開業していて薬が爆発して火傷をしたというような記事が新聞に載り、その記事のうちに従属的に織交ぜられて初代ぽん太鹿島ゑ津子の名が見えていたことがあった。また、父の経営した青山脳病院では毎月患者の慰安会というものを催し、次ぎから次と変った芸人が出入したが、ある時鹿島ゑ津子さんがほかの芸人のあいまに踊を舞ったことがある。