Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しゃよう
斜陽
Lesen Sie 斜陽 (しゃよう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.822 Zeichen · 176 Bildschirme
ここのホテルでやすみましょう。たしか、空いた部屋があった筈だ」
湖のほとりに、石のホテルがあった。そのホテルの石は、みどり色の霧でしっとり濡れていた。石の門の上に、金文字でほそく、HOTEL SWITZERLAND と彫り込まれていた。SWI と読んでいるうちに、不意に、お母さまの事を思い出した。お母さまは、どうなさるのだろう。お母さまも、このホテルへいらっしゃるのかしら? と不審になった。そうして、青年と一緒に石の門をくぐり、前庭へはいった。霧の庭に、アジサイに似た赤い大きい花が燃えるように咲いていた。子供の頃、お蒲団の模様に、真赤なアジサイの花が散らされてあるのを見て、へんに悲しかったが、やっぱり赤いアジサイの花って本当にあるものなんだと思った。
「寒くない?」
「ええ、少し。霧でお耳が濡れて、お耳の裏が冷たい」
と言って笑いながら、
「お母さまは、どうなさるのかしら」
とたずねた。
すると、青年は、とても悲しく慈愛深く微笑んで、
「あのお方は、お墓の下です」
と答えた。
「あ」
と私は小さく叫んだ。そうだったのだ。お母さまは、もういらっしゃらなかったのだ。