Japanische Klassiker mit Furigana
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しゃよう
斜陽
Lesen Sie 斜陽 (しゃよう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.822 Zeichen · 176 Bildschirme
「名医かも知れないわ」
とおっしゃった。
熱は七度にさがっていた。私はうれしく、この村にたった一軒の宿屋に走って行き、そこのおかみさんに頼んで、鶏卵を十ばかりわけてもらい、さっそく半熟にしてお母さまに差し上げた。お母さまは半熟を三つと、それからおかゆをお茶碗に半分ほどいただいた。
あくる日、村の名医が、また白足袋をはいてお見えになり、私が昨日の強い注射の御礼を申し上げたら、効くのは当然、というようなお顔で深くうなずき、ていねいにご診察なさって、そうして私のほうに向き直り、
「大奥さまは、もはや御病気ではございません。でございますから、これからは、何をおあがりになっても、何をなさってもよろしゅうございます」
と、やはり、へんな言いかたをなさるので、私は噴き出したいのを怺えるのに骨が折れた。
先生を玄関までお送りして、お座敷に引返して来て見ると、お母さまは、お床の上にお坐りになっていらして、
「本当に名医だわ。私は、もう、病気じゃない」
と、とても楽しそうなお顔をして、うっとりとひとりごとのようにおっしゃった。
「お母さま、障子をあけましょうか。雪が降っているのよ」